大腸憩室があると言われたら? 食事制限は必要? 将来、憩室炎や出血になる?【最新ガイドライン2026】|大阪市平野駅の胃カメラ検査・大腸カメラ検査|東森医院

〒547-0044 大阪府大阪市平野区平野本町3-5-2

06-6791-0067

24時間いつでも受付WEB予約 LINE予約はこちら
お問い合わせ Instagram
下層メインビジュアル

大腸憩室があると言われたら? 食事制限は必要? 将来、憩室炎や出血になる?【最新ガイドライン2026】

大腸憩室があると言われたら? 食事制限は必要? 将来、憩室炎や出血になる?【最新ガイドライン2026】|大阪市平野駅の胃カメラ検査・大腸カメラ検査|東森医院

2026年10月21日

大腸憩室があると言われたら? 食事制限は必要? 将来、憩室炎や出血になる?【最新ガイドライン2026】

大腸カメラを受けたあとに、
「大腸に憩室がありますね」
と言われたことはありませんか。

「憩室って病気なの?」「放っておいて大丈夫?」「ゴマやナッツは食べないほうがいい?」「将来、憩室炎や出血になるのでは?」と心配される方も少なくありません。

しかし、まず知っていただきたいのは、大腸憩室があるだけで治療が必要になるわけではないということです。

2026年には、日本消化管学会から『大腸憩室症(憩室出血・憩室炎)ガイドライン2026 改訂第2版』が発刊されました。約10年ぶりの改訂で、憩室を持つ人の生活習慣、便秘との関係、将来の憩室炎・憩室出血のリスクなどについても最新のエビデンスが整理されています。

今回はこの最新ガイドラインを中心に、「大腸憩室がある」と言われた方が知っておきたいことを解説します。

そもそも「大腸憩室」とは?

大腸憩室とは、大腸の壁の一部が外側に小さな袋状に飛び出したものです。

大腸カメラでは、小さなくぼみや穴のように見えます。年齢とともに増え、日本でも決して珍しいものではありません。近年の日本のCTコロノグラフィーを用いた研究では、対象者の約48%に大腸憩室が認められています。特に若い世代では右側大腸に多く、年齢が上がるにつれて左右両側に憩室を持つ人が増えることも報告されています。

ここで大切なのは、

「憩室がある」=「憩室炎」ではない

ということです。

症状のない状態は「無症候性大腸憩室症」と呼ばれます。現在の国際的なコンセンサスでも、症状のない憩室そのものには通常、特別な治療は必要ありません。

「便秘だから憩室ができる」は本当?

以前は、「便秘になると大腸の圧が高くなり、その圧によって憩室ができる」と説明されることがよくありました。

ところが、最近の研究ではそれほど単純ではないことが分かっています。

私たちも日本人1,014人を対象に、大腸カメラの所見と慢性便秘の関係について研究しました。

その結果、意外なことに、慢性便秘がある人では大腸憩室がむしろ少なく、特に右側の大腸憩室では便秘との逆相関が明確でした。また、便秘が重症になるほど憩室の数が少なくなる傾向も確認されました。

一方、日本人の大腸憩室には特徴があります。

欧米ではS状結腸など「左側」の憩室が多いのに対し、日本人では盲腸・上行結腸など右側の憩室が比較的多く、特に若い人では右側優位です。左側・両側の憩室は年齢とともに増加します。

つまり、右側憩室と左側憩室は、同じ「憩室」と呼ばれていても、できる背景が少し異なる可能性があります。

最新の日本のガイドラインでも「便通異常は大腸憩室症と関連するか?」が独立した項目として取り上げられており、単純に「便秘だから憩室ができる」と考える時代ではなくなっています。

ゴマ、ナッツ、種は食べないほうがいい?

これは患者さんから非常によく聞かれる質問です。

以前は、

「憩室の穴にゴマや種が入り込むと炎症を起こす」
「ナッツやポップコーンは避ける」

と指導されることがありました。

しかし現在では、憩室があるという理由だけで、ゴマ・ナッツ・種・トウモロコシ・ポップコーンなどを避ける必要はないと考えられています。

約5万人を追跡した研究でも、ナッツ、トウモロコシ、ポップコーンを食べることで憩室炎や憩室出血が増えることは示されませんでした。日本の2026年ガイドライン作成資料でも、ナッツ・ポップコーンと憩室疾患との明確な関連は認められていません。

2026年の米国消化器病学会(ACG)のガイドラインでも、憩室炎の再発予防として健康的な食生活を勧める一方、nuts、seeds、corn、popcornを避ける必要はないと明記されています。

したがって、

「憩室があるから、ゴマは一生禁止」

といった極端な食事制限は必要ありません。

食物繊維についても、「たくさん食べれば憩室そのものが治る」とまでは言えません。ただし、野菜・果物・全粒穀物などを含むバランスの良い食生活は、便通や生活習慣病の観点も含めて大切です。最新の国際コンセンサスでも、食物繊維を含む質のよい食事が推奨されています。

将来、憩室炎になる確率は?

「憩室があると、そのうち憩室炎になるのでしょうか?」

ここも過度に心配する必要はありません。

2026年の日本のガイドラインでは、大腸憩室を持っている人がその後**憩室炎を発症する割合は、観察期間中央値約7年で1.0~4.3%**と整理されています。

つまり、

憩室を持っている人の大部分は、憩室炎を起こさずに生活しています。

憩室炎になると、腹痛、圧痛、発熱などが出現します。日本では右側憩室が多いため、右下腹部痛で虫垂炎と区別が必要になることもあります。一方、左側の憩室炎では左下腹部痛を生じることが多くあります。

強い腹痛が続く、発熱を伴う、食事が取れない、といった場合には、「以前、大腸憩室があると言われた」ことを医師に伝えてください。

憩室出血はどのくらい起こる?

もう一つ注意したい合併症が大腸憩室出血です。

特徴は、腹痛がほとんどないにもかかわらず、

突然、かなり多くの赤い血が出る

ことです。

日本の長期追跡研究では、大腸憩室を持つ人の憩室出血の累積発症率は、**約5年で2%、10年で約10%**でした。2026年版ガイドラインでもこのデータが採用されています。特に高齢者や、右側・左側の両方に憩室がある人では出血リスクが高いことが示されています。

また、NSAIDsと呼ばれる一部の鎮痛薬や、アスピリン・抗血栓薬などは憩室出血と関連することがあります。

ただし、心筋梗塞や脳梗塞などを予防するための抗血栓薬を、「憩室があるから」という理由だけで自己判断で中止してはいけません。 必要性と出血リスクを個別に判断することが大切です。

急に大量の血便が出る、何度も血便を繰り返す、ふらつき・冷汗・動悸がある場合は、早めの医療機関受診が必要です。

憩室が見つかったら、大腸カメラを毎年受けるべき?

憩室そのものを観察するためだけに、毎年大腸カメラを受ける必要は通常ありません。

無症状の憩室は基本的に治療対象ではなく、内視鏡検査の間隔は、大腸ポリープの有無、便潜血検査、大腸がんの家族歴、これまでの検査結果などを総合して決めます。

ただし、

血便が出た、腹痛が続く、便通が急に変化した

という場合には、「以前の大腸カメラで憩室があったから今回も憩室だろう」と自己判断しないことが重要です。

血便には大腸がん、ポリープ、炎症性腸疾患、虚血性腸炎、痔など、さまざまな原因があります。必要に応じて大腸カメラやCTなどで原因を確認します。

大腸憩室があっても、必要以上に怖がらなくて大丈夫です

大腸憩室は、日本人にも非常によくみられる所見です。

憩室があるだけなら、特別な治療や厳しい食事制限は基本的に必要ありません。

ゴマやナッツをすべて禁止する必要もありませんし、「便秘だから憩室ができた」と単純に考えることも、現在の研究からは適切ではありません。

一方で、少数ながら憩室炎や憩室出血を起こす方がいます。

大切なのは、憩室があること自体を怖がるのではなく、腹痛・発熱・突然の血便など、合併症を疑う症状を知っておくことです。

東森医院では、大腸カメラで憩室が見つかった場合も、憩室の場所や数だけではなく、便秘・下痢などの便通、ポリープの有無、生活習慣、服用されている薬まで含めてご説明しています。

「大腸憩室があると言われたけれど、どうしたらよいのか分からない」「血便があって憩室出血なのか心配」「便秘や腹痛が続いている」といった場合も、お気軽にご相談ください。

参考文献

監修

東森医院 院長 東森 啓(ひがしもり あきら)

医学博士。日本内科学会 総合内科専門医、日本消化器病学会 専門医・指導医、日本消化器内視鏡学会 専門医・指導医、日本消化管学会 専門医。

山口大学医学部卒業後、大阪市立大学大学院医学研究科博士課程を修了。大阪公立大学医学部 病院講師、香港中文大学 Prince of Wales Hospital 客員研究員、南大阪病院・なにわ生野病院副部長などを経て、東森医院院長。

大腸内視鏡、便秘、大腸前処置などを中心に臨床研究を行い、大腸憩室と慢性便秘の関連を検討した研究では筆頭・責任著者としてScandinavian Journal of Gastroenterologyに報告。日本人の大腸憩室では、特に右側憩室と慢性便秘が逆相関することを示し、「便秘が憩室の原因」という従来の考え方を再検討する一つの知見となっています。

ひらの色。

ひとにやさしい。
不安な症状も、検査結果も、できるだけ分かりやすい言葉でお伝えします。

らくに受けられる。
大腸カメラは、下剤や鎮静方法も含め、一人ひとりに合わせた検査を大切にしています。

のぞむ明日を、もっと近くに。
病気を見つけるだけでなく、「これからどうしたらよいか」まで一緒に考える。それが東森医院の消化器・内視鏡診療です。

ひらの色。
大阪市平野区で地域医療を続けてきた東森医院は、これからも「総合内科として診る力」と「消化器・内視鏡の専門性」の両方を大切にしていきます。

TOP