マンジャロを使っているけど胃カメラは受けられる?休薬は必要?胃に食べ物が残る理由を解説|大阪市平野駅の胃カメラ検査・大腸カメラ検査|東森医院

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マンジャロを使っているけど胃カメラは受けられる?休薬は必要?胃に食べ物が残る理由を解説

マンジャロを使っているけど胃カメラは受けられる?休薬は必要?胃に食べ物が残る理由を解説|大阪市平野駅の胃カメラ検査・大腸カメラ検査|東森医院

2026年9月16日

マンジャロを使っているけど胃カメラは受けられる?休薬は必要?胃に食べ物が残る理由を解説

「マンジャロを使っているのですが、胃カメラは受けられますか?」

最近、このようなご質問をいただくことが増えてきました。

結論からいうと、マンジャロを使用しているからといって、胃カメラが受けられないわけではありません。ただし、マンジャロには「胃の中の食べ物を腸へ送り出すスピードを遅くする作用」があるため、通常どおり絶食していても、胃の中に食べ物が残っていることがあります。

特に、鎮静剤を使用して眠った状態で胃カメラを受ける場合には、胃の中に食べ物が多く残っていると、検査が十分にできないだけでなく、まれではありますが、胃の内容物が逆流して気管に入る「誤嚥」のリスクについても考える必要があります。

一方で、「ではマンジャロを1週間中止すればよいのか」というと、そこまで単純ではありません。現在も世界中で研究が続いており、マンジャロなどのGLP-1関連薬を胃カメラの前に中止するべきかについては、専門学会の間でも考え方が完全には統一されていません。

東森医院では、こうした最新の知見を踏まえ、マンジャロを使用しているという理由だけで一律に休薬することはせず、胃腸症状や使用状況を確認したうえで胃カメラを行っています。

なぜマンジャロを使うと胃に食べ物が残ることがあるの?

マンジャロの一般名はチルゼパチドで、GIPとGLP-1という2つのホルモンの働きを利用したGIP/GLP-1受容体作動薬です。日本では2型糖尿病の治療薬として使用され、週1回注射します。

マンジャロには血糖値を改善する作用だけでなく、食欲を抑えたり、満腹感を持続させたりする作用があります。その理由の一つが「胃内容排出の遅延」です。

通常、食事をすると胃の中で食べ物が消化され、徐々に十二指腸へ送られていきます。マンジャロを使用すると、このスピードが遅くなることがあります。

実際、チルゼパチド5mgを投与した研究では、初回投与後に胃内容排出が遅くなることが確認されています。一方、この作用は継続使用によってある程度弱くなることも分かっています。つまり、マンジャロを使っているすべての人に同じ程度の胃内容排出遅延が起こるわけではありません。

特に注意したいのが、マンジャロを開始したばかりの時期や、2.5mgから5mgなどへ増量した直後です。吐き気、胃もたれ、食欲低下、膨満感などの消化器症状が出やすい時期でもあり、胃の動きが普段より遅くなっている可能性があります。

きちんと絶食しても、胃に食べ物が残ることがあります

一般的な胃カメラでは、前日の夕食を指定された時間までに済ませ、当日の朝は食事をせずに検査を行います。

通常であれば、これで胃の中はほぼ空になります。

しかし、マンジャロやGLP-1受容体作動薬を使用している方では、絶食時間をきちんと守っていても、胃の中に固形物が残っていることがあります。

2025年に報告された研究では、通常の絶食指示を守って胃カメラを受けた患者さんでも、GLP-1関連薬を使用している人では12.6%に胃内容物の残留がみられ、使用していない人では5.5%でした。

日本からも興味深いデータが報告されています。東京大学のグループが糖尿病患者を対象に行った研究では、患者背景をそろえて比較したところ、胃の中に食べ物が残っていた割合はGLP-1受容体作動薬使用者で12.2%、非使用者では3.4%でした。一方、この研究では誤嚥性肺炎は認められていませんでした。

つまり、現在かなり一貫して分かってきているのは、「マンジャロなどを使用していると胃カメラの際に食べ物が残っている可能性は高くなる」ということです。

一方で、「実際に誤嚥事故がどの程度増えるのか」については、まだはっきりしていません。

実際に「かなり食べ物が残っていた」こともあります

これは論文だけの話ではありません。

当院でも、通常どおり前日から絶食していただいていたにもかかわらず、胃カメラを挿入すると、胃の中にかなり多量の食物残渣が残っていたケースを経験しています。

胃の中に食べ物が多く残っていると、食べ物の陰に隠れた胃粘膜を観察できません。胃がんや胃潰瘍などの小さな病変を見逃してしまう可能性があるため、無理に検査を続けず、改めて胃カメラを行ったほうがよい場合もあります。

また、鎮静剤を使用している場合には、胃の内容物が食道へ逆流し、それが気管に入る危険性も考えなければなりません。

実際、現在のマンジャロの添付文書にも、GLP-1受容体作動薬やGIP/GLP-1受容体作動薬を使用している患者さんでは、絶食の指示を守っていても、全身麻酔や深い鎮静下で誤嚥を起こした症例が報告されていることが記載されています。

ただし、ここで大切なのは、「マンジャロを使うと誤嚥する」という意味ではないことです。

胃内残渣が増えるという報告は多くありますが、誤嚥そのものは非常にまれです。大規模研究でも、GLP-1関連薬によって誤嚥や肺炎が明らかに増えなかったという報告がある一方、わずかに増加したとする研究もあり、現時点では結論が出ていません。

マンジャロは胃カメラの1週間前から休薬するべき?

ここが、現在もっとも議論されているポイントです。

2025年に米国消化器内視鏡学会(ASGE)が発表したポジションステートメントでは、待機的な内視鏡検査の場合、マンジャロのような週1回投与の薬剤について、検査7日前から休薬する方法が提案されています。また、GLP-1関連薬を使用している患者さんでは、胃カメラの24時間前から固形物を避け、液体食とすることも提案されています。

一方、米国消化器病学会や米国麻酔科学会など複数の学会が参加した別のガイダンスでは、「すべての患者さんでGLP-1関連薬を中止する必要はない」とされています。胃内容排出遅延のリスクが低ければ薬を継続し、リスクが高い患者さんでは検査前24時間を液体食にするなど、患者さんごとに対応を変える方法が推奨されています。

つまり、専門家の間でも「1週間中止すればすべて解決」という考え方にはなっていません。

さらに2026年7月には、GLP-1受容体作動薬を2週間休薬すると胃内残渣が減少したという研究も報告されました。ただし、単施設の後ろ向き研究であり、肥満のある患者さんでは2週間休薬しても胃内容残留のリスクが残っていました。どのくらい休薬すれば十分なのかについても、まだ確立された答えはありません。

休薬によって糖尿病のコントロールが悪化する可能性もあります。そのため、自己判断でマンジャロを中止することはおすすめできません。

東森医院では、症状がなければ原則としてマンジャロを継続して胃カメラを行っています

東森医院では現在、マンジャロを使用しているという理由だけで、一律に1週間休薬していただくことはしていません。

マンジャロを安定した量で継続しており、吐き気、胃もたれ、早期満腹感、腹部膨満感などの症状がない方については、基本的にはマンジャロを使用したまま胃カメラを行っています。

一方、「最近マンジャロを増量した」「食後いつまでも胃に食べ物が残っている感じがする」「少し食べただけですぐお腹いっぱいになる」「吐き気がある」「胃もたれが強い」といった症状がある方では、胃内容排出が遅れている可能性を考えます。

そのような場合には、前日の食事を低残渣で消化のよい内容に変更していただくなど、通常より胃に食べ物を残しにくい方法をとっています。症状が強い場合や胃内容残留のリスクが高いと判断した場合には、液体中心の食事への変更や、検査日の変更なども含めて個別に判断します。

特に、マンジャロを開始したばかりの方、増量した直後の方、以前の胃カメラで食べ物が残っていた方、もともと胃の動きが悪い方などは、事前にお知らせください。

「マンジャロを使っているから胃カメラをやめる」必要はありません

マンジャロは非常に有用な治療薬ですが、「胃の動きを遅くする」という特徴があります。そのため、胃カメラを受けるときには、使用していることを医師や看護師に伝えることが大切です。

しかし、マンジャロを使用しているからといって、胃カメラそのものを避ける必要はありません。

現在の研究をまとめると、「胃の中に食べ物が残る割合は増える可能性が高い。しかし実際の誤嚥リスクがどの程度増えるのか、何日前から薬を中止すべきなのかについては、まだ十分なエビデンスがない」というのが現状です。

だからこそ大切なのは、「マンジャロを使っているか、使っていないか」だけで判断するのではなく、その方の症状、投与量、増量時期、糖尿病の状態、過去の胃カメラの状況などを総合して考えることです。

東森医院では、最新の研究やガイドラインを確認しながら、必要以上にマンジャロを中断することなく、安全性にも配慮した胃カメラを行っていきたいと考えています。

「マンジャロを使っているけれど胃カメラを予約して大丈夫?」「検査前の注射はどうすればいい?」「鎮静剤を使って眠って胃カメラを受けたい」という方は、予約時や診察時にお気軽にご相談ください。

この分野はここ数年で急速に研究が進んでおり、今後新しい研究結果によって推奨される対応が変わる可能性があります。当院でも新しいエビデンスを確認しながら、適宜検査方法や食事指導を見直していきます。

参考文献

Sharaiha RZ, et al. American Society for Gastrointestinal Endoscopy position statement on periendoscopic management of patients on glucagon-like peptide-1 receptor agonists and sodium-glucose cotransporter-2 inhibitors. Gastrointest Endosc. 2025;101:285-294.  

Kindel TL, et al. Multisociety clinical practice guidance for the safe use of glucagon-like peptide-1 receptor agonists in the perioperative period. Clin Gastroenterol Hepatol. 2025;23:2083-2085.  

Hisada H, et al. Impact of Glucagon-Like Peptide-1 Receptor Agonists on Retained Gastric Contents During Esophagogastroduodenoscopy: A Propensity Score-Matched Study. Dig Endosc. 2025;37:1340-1347.  

Quinn JA, et al. Perioperative glucagon-like peptide-1 receptor agonist use and retained gastric contents: A retrospective analysis of patients undergoing elective upper endoscopy. J Clin Anesth. 2025;102:111776.  

Dong Z, et al. Effect of two-week perioperative glucagon-like peptide-1 receptor agonist interruption on retained gastric contents during esophagogastroduodenoscopy. Surg Endosc. 2026.

監修者プロフィール

院長 東森 啓(ひがしもり あきら)

資格・所属学会

医学博士
日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医
日本消化器病学会 専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会 専門医・指導医
日本ヘリコバクター学会 ピロリ菌感染症認定医
日本カプセル内視鏡学会 認定医
日本消化管学会 専門医
日本医師会認定産業医
難病指定医

略歴・主な職歴

2008年 山口大学医学部 卒業
2016年 大阪市立大学大学院 医学研究科 博士課程修了
大阪公立大学医学部附属病院などで消化器内科・消化器内視鏡診療に従事
現在 東森医院 院長

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