2026年7月27日

熱中症は室内や夜間にも起こります
熱中症は、気温や湿度が高い環境で体温調節がうまく働かなくなり、体内に熱がこもることで起こります。炎天下の屋外だけでなく、冷房を使用していない室内や夜間にも発症し、重症化すると命に関わることがあります。
めまい、立ちくらみ、大量の発汗、頭痛、吐き気、筋肉のけいれん、強いだるさなどは、熱中症を疑う症状です。「少し休めば大丈夫」と無理をせず、早めに対応することが重要です。
予防の基本は、暑さを避けることと、のどが渇く前からこまめに水分をとることです。大量に汗をかいた場合は、適度な塩分補給も必要です。エアコンや扇風機を適切に使用し、通気性のよい服装、十分な睡眠、朝食を心がけましょう。
高齢者は暑さやのどの渇きを感じにくく、乳幼児は体温調節機能が未熟なため、ご家族や周囲の方からの声かけが欠かせません。
予防の鍵はWBGTと職場の仕組み
暑さの判断には、気温だけでなく、湿度、日射・輻射熱などを考慮した「暑さ指数(WBGT)」が役立ちます。環境省の熱中症予防情報サイトでは、地域ごとのWBGTの実況値や予測値を確認できます。数値が高い日は、外出や運動、屋外作業の時間を短くし、涼しい場所での休憩を増やしましょう。
職場では、WBGTの把握に加え、作業時間の短縮、涼しい休憩場所の確保、水分・塩分の準備、暑さに体を慣らす「暑熱順化」などを計画的に行うことが大切です。作業者同士で体調を確認し、異変をすぐに報告できる体制も必要です。
2025年6月1日から、WBGT28以上または気温31度以上の環境で、連続1時間以上または1日4時間を超えて行うことが見込まれる作業について、報告体制の整備、重篤化を防ぐための対応手順の作成、関係者への周知が事業者に義務付けられています。さらに、2026年には厚生労働省が「職場における熱中症防止のためのガイドライン」を策定しました。

症状が出たら迷わず冷却と受診を
熱中症が疑われたら、すぐに冷房の効いた室内や日陰へ移動し、衣服をゆるめ、首、わきの下、足の付け根などを冷やします。意識がはっきりしており、吐き気や嘔吐がなければ、経口補水液などを少しずつ飲ませます。
呼びかけへの反応がおかしい、自力で水分を飲めない、けいれんがある、冷却しても症状が改善しない場合は、迷わず119番通報してください。意識が悪い人に無理に水分を飲ませてはいけません。
私は東森医院の院長として地域医療に携わるとともに、日本医師会認定産業医として、企業の安全衛生委員会などで熱中症予防の講話も行っています。熱中症は、正しい知識と職場・家庭での声かけによって防げる可能性が高い病気です。自分だけでなく、周囲の小さな体調変化にも目を向け、暑い季節を安全に乗り切りましょう。

参考文献
1.厚生労働省「熱中症関連情報」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/index.html
2.環境省「熱中症予防情報サイト」
https://www.wbgt.env.go.jp/
3.環境省「暑さ指数(WBGT)とは?」
https://www.wbgt.env.go.jp/sp/wbgt.php
4.厚生労働省「職場における熱中症予防情報」
https://neccyusho.mhlw.go.jp/
5.厚生労働省「職場における熱中症防止のためのガイドライン」
https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/001676132.pdf
6.厚生労働省「令和8年 STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」
https://www.mhlw.go.jp/stf/coolwork_2026.html
7.日本赤十字社「熱中症」
https://www.jrc.or.jp/study/safety/fever/
記事監修
監修者プロフィール
院長 東森 啓(ひがしもり あきら)
資格・所属学会
医学博士
日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医
日本消化器病学会 専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会 専門医・指導医
日本ヘリコバクター学会 ピロリ菌感染症認定医
日本カプセル内視鏡学会 認定医
日本消化管学会 専門医
日本医師会認定産業医
難病指定医
略歴・主な職歴
2008年 山口大学医学部 卒業
2016年 大阪市立大学大学院 医学研究科 博士課程修了
大阪公立大学 医学部 病院講師
香港中文大学 Prince of Wales Hospital 客員研究員
なにわ生野病院 副部長
ガイドライン作成・システマティックレビュー
H. pylori感染の診断と治療のガイドライン2024年改訂版 システマティックレビュー担当
薬剤性消化管障害ガイドライン 作成委員
消化性潰瘍診療ガイドライン システマティックレビュー担当
この度、東森医院の4代目として、大阪市平野区にて診療を行っております。大学病院・地域中核病院・海外の医療現場で培った幅広い内科・消化器診療、内視鏡診療、研究の経験を活かし、地域の皆さまに信頼していただける医療を提供してまいります。
当院では、最新の内視鏡システムと鎮静を用いた「苦痛の少ない胃カメラ・大腸カメラ」に力を入れております。また、日帰り大腸ポリープ切除術にも対応し、検査から治療まで一貫した内視鏡診療を提供しています。生活習慣病や一般内科診療にも対応し、病気の早期発見と予防医療を通じて、地域の皆さまの健康を支える“かかりつけ医”を目指してまいります。