2026年8月12日

「大腸カメラは何年おきに受ければいい?」
「大腸ポリープを切除した後、次の大腸カメラは何年後?」
「ポリープが1個だけだった場合も、1年後に大腸カメラが必要?」
このような疑問をお持ちの方は多いと思います。
大腸カメラを受ける適切な間隔は、全員同じではありません。
前回の大腸カメラで、
など、前回の検査結果によって次に大腸カメラを受ける時期は変わります。
結論からいうと、大腸カメラの次回検査は、患者さんによって1年後・3年後・5年後など大きく異なります。
この記事では、「大腸カメラは何年おきに受けるべきか」「大腸ポリープ切除後はいつ再検査するのか」について、日本のガイドラインをもとに分かりやすく解説します。
大腸カメラは何年おきに受ければいい?まずは目安
大腸カメラの検査間隔について、大まかな目安をまとめると以下のようになります。

ただし、これはあくまで一般的な目安です。
「ポリープを取ったら全員1年後」ではありません。
反対に、
「前回の大腸カメラが異常なしだったから、もう受けなくてもよい」
というわけでもありません。
大切なのは、前回の大腸カメラの結果に合わせて検査間隔を決めることです。
大腸カメラで異常なしだった場合、次は何年後?
「大腸カメラで異常なしと言われたら、次はいつ受ければいい?」
これも非常によくある質問です。
前回の大腸カメラでポリープや大腸がんなどの腫瘍性病変がなく、大腸全体を十分に観察できていた場合には、まずは通常の便潜血検査を毎年受けることが基本になります。
大腸カメラそのものを繰り返す場合には、5年後程度をひとつの目安として考えます。
つまり、
大腸カメラが一度正常だったから、その後は大腸がん検診を受けなくてよいわけではありません。
40歳以上の方は、大腸カメラが異常なしであっても、原則として毎年の便潜血検査を続けることが大切です。
大腸ポリープ切除後、次の大腸カメラは何年後?
「大腸ポリープを切除したら、次の大腸カメラはいつ?」
という疑問については、切除したポリープの数・大きさ・病理結果によって変わります。
ポリープを切除したからといって、すべての方が毎年大腸カメラを受ける必要があるわけではありません。
大腸ポリープが1個だけだった場合、次回はいつ?
「大腸ポリープが1個だけ見つかって切除しました。次は1年後ですか?」
と質問されることがあります。
10mm未満の小さな腺腫が1~2個で、高度異型などの高リスク所見がなく、完全に切除できている場合には、次回の大腸カメラは3~5年後が一つの目安になります。
したがって、
小さな大腸ポリープを1個切除した=必ず1年後に大腸カメラ
というわけではありません。
前回の大腸カメラで大腸全体をしっかり観察でき、ポリープも完全に切除されていることが重要です。
大腸ポリープを2個切除した場合も1年後?
小さな低リスク腺腫が1~2個だった場合、一般的には3~5年後の大腸カメラが検討されます。
「ポリープが2個あったから、毎年検査しないと危険」というわけではありません。
ただし、同じ「2個」でも、
の場合には、検査間隔が短くなることがあります。
そのため、ポリープの個数だけで次回時期を決めることはできません。
大腸ポリープが3個以上あった場合、次回は3年後?
前回の大腸カメラで腺腫が3~9個見つかった場合には、一般的に3年後の大腸カメラが推奨されます。
ポリープが多くできる方は、今後も新しい腺腫や、より注意が必要な病変ができる可能性が高いためです。
したがって、
「全部切除したから、もう大丈夫」
ではなく、適切な時期にもう一度大腸全体を確認することが重要です。
大腸カメラを1年後に受けた方がよい人は?
では、「大腸カメラを1年後に受ける」と言われるのはどのような場合でしょうか。
一般的には、
などの場合には、1年後の大腸カメラが検討されます。
つまり、ポリープ切除後の検査間隔は、
「ポリープがあったか・なかったか」だけではなく、「どんなポリープだったか」
で決まります。
なぜ大腸ポリープ切除後は3年後と言われることが多い?
「大腸ポリープを取った後、なぜ次は3年後なの?」
と思われる方もいるでしょう。
大腸ポリープの多くは、内視鏡で完全に切除することで治療できます。
ただし、ポリープができた方は、その後に別の場所に新しいポリープができる可能性があります。
そのため、ポリープ切除後の大腸カメラは、
「切除した場所が治っているか」
だけを見るのではありません。
大腸全体に新しい腺腫や大腸がんができていないかを確認する
という大切な目的があります。
日本で行われたJapan Polyp Studyでも、適切に大腸内の腫瘍性病変を取り除いた方について、3年後の大腸カメラが重要な検査時期となることが示されています。
このため、日本ではポリープ切除後の一つの基準として「3年後」という期間がよく用いられています。
大きな大腸ポリープを切除した場合は3年待たないことも
「大腸ポリープ切除後は3年後」と聞いたことがある方も多いかもしれません。
しかし、すべてのポリープ切除後に3年間待つわけではありません。
特に20mmを超えるような大きなポリープでは、病変を一つのかたまりとして切除できず、いくつかに分けて切除する「分割切除」を行うことがあります。
この場合には、切除した部分に病変が残っていないかを確認するため、3~6か月程度など、早い時期に大腸カメラを行う場合があります。
これは通常の「次回は何年後?」というサーベイランスとは少し意味が異なります。
切除した場所にポリープが残っていないか確認するための再検査です。
大腸カメラでポリープがなかったのに1年後と言われることはある?
あります。
「ポリープがなかったのに、なぜ1年後?」と思われるかもしれません。
例えば、「便が多く残っていた」「一部に見えにくい場所があった」「大腸の奥まで十分に観察できなかった」
といった場合です。
大腸カメラは、単に検査を受けたかどうかだけではなく、大腸の中をどれだけきれいな状態で観察できたかも重要です。
便が多く残っていると、その陰に小さなポリープが隠れてしまう可能性があります。
そのため、前回の検査が十分でなかった場合には、ポリープが見つからなくても早めの再検査をおすすめすることがあります。
SSLを切除した場合、次の大腸カメラはいつ?
大腸ポリープには、一般的な腺腫のほかに、**SSL(sessile serrated lesion:無茎性鋸歯状病変)**と呼ばれる病変があります。
SSLは平坦で見つけにくいことがあり、大腸がんにつながる経路の一つとして重要な病変です。
SSLを切除した場合も、大きさ・個数・異型の有無などを考慮して、次回の大腸カメラの時期を決定します。
一般的には3~5年後が一つの目安となりますが、大きなSSLや多発する場合などには、より短い間隔での検査を検討することがあります。
大腸カメラは毎年受けた方が安心?
「大腸がんが心配なので、大腸カメラを毎年受けた方が安心では?」
と考える方もいらっしゃいます。
しかし、大腸カメラは多く受ければ受けるほどよいという検査ではありません。
もちろん、大腸カメラは大腸がんや大腸ポリープを発見するために非常に有用な検査です。
一方で、検査には下剤の服用が必要であり、まれではありますが出血や穿孔などの偶発症もあります。
そのため、
「必要な人が、必要な間隔で受ける」
ことが大切です。
低リスクの方に毎年検査を行うよりも、高リスクの方が適切なタイミングで確実に大腸カメラを受けることの方が重要です。
日本は3~5年、アメリカは7~10年?大腸カメラの間隔が違う理由
インターネットで「大腸ポリープ切除後 何年後」と検索すると、
「7~10年後でよい」
という海外の記事が出てくることがあります。
米国では、質の高い大腸カメラで10mm未満の小さな腺腫が1~2個だけ見つかり、完全に切除されている場合、次回は7~10年後とするガイドラインがあります。
一方、日本では同じような小さな低リスク腺腫が1~2個の場合でも、3~5年後が一つの目安です。
この違いには、もとになっている研究データや大腸がん検診の仕組み、医療資源の考え方、再検査による利益と負担のバランスなどの違いがあります。
などの違いがあります。
そのため、
「アメリカでは10年だから、自分も10年後で大丈夫」
と自己判断するのはおすすめできません。
日本で検査を受ける場合には、日本のガイドラインや前回の検査結果をもとに、担当医と相談して次回時期を決めましょう。
大腸カメラが3年後の予定でも、早く受けた方がよい症状
「次の大腸カメラは3年後」と言われていても、症状があればその時期まで待つ必要はありません。
特に、血便が続く、便が細くなった・便通の変化が続く、原因不明の貧血を指摘された、体重減少や腹痛などの症状がある
といった場合には、予定より早く大腸カメラが必要になることがあります。
サーベイランスとしての「3年後」と、症状があるときに行う大腸カメラは別の話です。
気になる症状がある場合には、検査予定日を待たず消化器内科へご相談ください。
結局、大腸カメラは何年おき?まとめ
大腸カメラの適切な検査間隔は、前回の検査結果によって異なります。
大まかな目安は、
ポリープがなく、十分に観察できていれば5~10年程度
低リスクの小さな腺腫が1~2個であれば3~5年程度
advanced neoplasiaや多数の腺腫があった場合には1~3年程度
となります。
ただし、患者さん自身が、
「自分のポリープは低リスクだったのか」
「advanced neoplasiaだったのか」
「完全切除できていたのか」
を判断するのは難しいと思います。
そのため、最も大切なのは、前回の大腸カメラの検査結果と病理結果を確認することです。
参考文献
1.斎藤 豊, 岡 志郎, 河村 卓二, ほか.大腸内視鏡スクリーニングとサーベイランスガイドライン.Gastroenterological Endoscopy. 2020;62(8):1519-1560.
日本消化器内視鏡学会
https://www.jstage.jst.go.jp/article/gee/62/8/62_1519/_html/-char/ja
2.Matsuda T, Fujii T, Sano Y, et al. Randomised comparison of postpolypectomy surveillance intervals following a two-round baseline colonoscopy: the Japan Polyp Study Workgroup. Gut. 2021;70(8):1469-1478.
PubMed
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33139269/
3.Gupta S, Lieberman D, Anderson JC, et al. Recommendations for Follow-Up After Colonoscopy and Polypectomy: A Consensus Update by the US Multi-Society Task Force on Colorectal Cancer. Gastroenterology. 2020;158(4):1131-1153.e5.
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4.Hassan C, Antonelli G, Dumonceau JM, et al. Post-polypectomy colonoscopy surveillance: European Society of Gastrointestinal Endoscopy (ESGE) Guideline – Update 2020. Endoscopy. 2020;52(8):687-700.
PubMed
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32572858/
5.国立がん研究センター がん情報サービス.大腸がん(結腸がん・直腸がん)について.
https://ganjoho.jp/public/cancer/colon/about.html
記事監修
監修者プロフィール
院長 東森 啓(ひがしもり あきら)
資格・所属学会
医学博士
日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医
日本消化器病学会 専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会 専門医・指導医
日本ヘリコバクター学会 ピロリ菌感染症認定医
日本カプセル内視鏡学会 認定医
日本消化管学会 専門医
日本医師会認定産業医
難病指定医
略歴・主な職歴
2008年 山口大学医学部 卒業
2016年 大阪市立大学大学院 医学研究科 博士課程修了
大阪公立大学 医学部 病院講師
香港中文大学 Prince of Wales Hospital 客員研究員
なにわ生野病院 副部長
ガイドライン作成・システマティックレビュー
H. pylori感染の診断と治療のガイドライン2024年改訂版 システマティックレビュー担当
薬剤性消化管障害ガイドライン 作成委員
消化性潰瘍診療ガイドライン システマティックレビュー担当
ひらの色
ひとにやさしく。
らくに受けられる。
のぞむ明日を、もっと近くに。
東森医院は、大阪市平野区でまもなく100年。
地域に根ざしたかかりつけ医としての伝統を受け継ぎながら、胃カメラ・大腸カメラなど専門性を生かした医療にも力を入れています。
時代や医療が進歩しても、一人ひとりに寄り添う医療は変わりません。
この街らしい、私たちらしい医療。
それが「ひらの色」です。