「お酒は少量なら体にいい」は本当?|大阪市平野駅の胃カメラ検査・大腸カメラ検査|東森医院

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「お酒は少量なら体にいい」は本当?

「お酒は少量なら体にいい」は本当?|大阪市平野駅の胃カメラ検査・大腸カメラ検査|東森医院

2026年8月21日

「お酒は少量なら体にいい」は本当?

「お酒は少しくらいなら体にいい」「毎日ビール1本程度なら健康に問題ない」

このような話を、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

実際、以前は「適量の飲酒は心臓に良い可能性がある」とする研究もあり、「お酒は飲みすぎなければ健康に良い」というイメージが広く定着していました。

しかし近年、この考え方は大きく変わってきています。

特に2026年6月、国立がん研究センターは日本人向けの「科学的根拠に基づくがん予防法5+1」を更新し、お酒についての推奨を、これまでの「節酒する」から「飲酒をひかえる」へ変更しました。

理由は明確です。

少量の飲酒であっても、一部のがんではリスクが上昇することが分かってきたからです。がん予防という観点から考えると、「ここまでなら絶対に安全」と言える飲酒量は設定できない、というのが現在の考え方になっています。国立がん研究センターも、がん予防の観点では「飲まないことがベスト」としています。

「適量のお酒は健康にいい」と言われていたのはなぜ?

では、これまで言われてきた「少量のお酒は体にいい」という話は、間違いだったのでしょうか。

少し丁寧に考える必要があります。

過去の疫学研究では、お酒をまったく飲まない人より、少量を飲む人のほうが心筋梗塞などの心血管疾患や死亡率が低いという、いわゆる「J字型」の関係が報告されてきました。

ただし、こうした研究の多くは観察研究です。

たとえば「お酒を飲まない人」の中には、もともと病気があって飲酒をやめた人が含まれている可能性があります。また、少量のお酒を楽しむ人には、食生活、経済状況、運動習慣など、飲酒以外の健康要因が影響している可能性もあります。

つまり、

「少量のお酒を飲んだから健康になった」

と単純には結論づけられません。

さらに重要なのは、「心血管病のリスク」と「がんのリスク」は別に考える必要があるということです。

仮に一部の病気について少量飲酒が有利に見える研究があったとしても、それが「がん予防にも良い」という意味にはなりません。

アルコールは、実は明確ながんの原因です

アルコール飲料は、世界保健機関(WHO)の専門機関である国際がん研究機関(IARC)によって「ヒトに対して発がん性がある」と分類されています。

飲酒との因果関係が明らかになっている代表的ながんには、

口腔がん、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、肝がん、大腸がん、女性の乳がん

などがあります。

ここで誤解してほしくないのは、「少し飲んだだけですぐにがんになる」という意味ではないことです。

がんのリスクは0か100かではありません。

一般的には飲酒量が増えるほどリスクが高くなり、長期間にわたる飲酒によってその影響が積み重なっていきます。

一方で、「1日○g未満なら、がんのリスクは完全にゼロ」という明確な境界線も確認されていません。

軽い飲酒についてまとめたメタ解析でも、少量飲酒と口腔・咽頭がん、食道扁平上皮がん、女性の乳がんとの関連が報告されています。

世界全体では、2020年に新たに診断されたがんの約74万例がアルコール摂取に起因すると推計されています。さらに、そのすべてが大量飲酒によるものではなく、1日20g未満の比較的少ない飲酒に関連するがんも一定数存在すると推計されています。

なぜお酒でがんになるのでしょうか?

お酒に含まれるエタノールは、体内に入ると主に肝臓で分解されます。

その途中でできるのが「アセトアルデヒド」です。

アセトアルデヒドにはDNAを傷つける作用があり、発がんに関係します。また、アルコールそのものによる酸化ストレス、炎症、ホルモンへの影響など、複数の仕組みががんの発生に関与すると考えられています。

特に日本人を含む東アジアの人には、アセトアルデヒドを分解する力が弱い体質の方が少なくありません。

少量のお酒ですぐ顔が赤くなる方は、アルコールを「鍛えれば強くなる」と考えないほうがよいでしょう。

酔いに慣れることと、アセトアルデヒドを安全に分解できるようになることは別の話です。

「男性40g、女性20gまでなら安全」ではありません

飲酒についてよく目にする数字に、

「男性40g、女性20g」

があります。

これは厚生労働省の「健康日本21」で「生活習慣病のリスクを高める飲酒量」として示されてきた目安です。

しかし、非常に大切なのは、

「男性40g未満、女性20g未満なら安全」

という意味ではないことです。

厚生労働省の「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」でも、飲酒量が少ないほど健康リスクは少なくなることが示されており、病気によってはかなり少ない飲酒量からリスクが上昇する可能性があります。

たとえば大腸がんについては、1日20g程度、週150g程度以上の飲酒を続けることで発症リスクが高くなるという研究結果が紹介されています。

純アルコール20gは、おおよそ、

ビール5%なら500mL
7%の缶チューハイなら350mL程度
日本酒なら1合弱
ワインならグラス1~2杯程度

です。

ビール500mLを毎日飲んでいる方は、「たいした量ではない」と感じるかもしれません。

しかし、それだけでも純アルコール約20gになります。

今後は「何杯飲んだか」だけではなく、「純アルコールを何g飲んでいるのか」を意識することが重要です。

がんだけではありません。毎日の飲酒は肝臓にも蓄積します

消化器内科の診療で、もう一つ忘れてはいけないのが肝臓です。

東森医院でも、飲酒が原因と考えられる脂肪肝や肝機能障害、アルコール関連肝疾患の患者さんを日常的に診療しています。

アルコールによる肝臓の障害は、最初は脂肪肝として始まることがあります。

そのまま大量飲酒が続くと、一部の方では炎症や線維化が進み、肝硬変、さらには肝がんへ進行することがあります。

問題は、肝臓が「沈黙の臓器」と呼ばれるほど、かなり悪くなるまで症状が出ないことです。

「お酒を毎日飲んでいるけれど、体調はいいから大丈夫」

とは限りません。

また最近では、肥満、糖尿病、脂質異常症などによる脂肪肝と、アルコールによる影響が重なっている患者さんも珍しくありません。

当院では、飲酒習慣があり肝機能異常を認める方について、血液検査だけでなく、必要に応じて腹部エコーやFIB-4 indexなども参考にしながら、肝臓の状態を総合的に評価しています。

γ-GTPが少し高いだけだから大丈夫、と自己判断せず、一度きちんと肝臓の状態を確認することが大切です。

お酒は今日から「ゼロ」にしないと意味がない?

ここまで読むと、

「では、お酒は一滴も飲んではいけないのですか?」

と思われるかもしれません。

今回の話で最も伝えたいのは、「飲酒する人を責めること」ではありません。

がん予防という観点では、飲酒量は少ないほどリスクが低く、飲まないことが最もリスクを下げられる、という科学的な情報を知っておくことが重要です。

そして、現在毎日飲んでいる方が、いきなり完全にやめられなかったとしても、

「今より少し減らす」

ことには意味があります。

毎日ビール500mLを飲んでいるのであれば量を減らしてみる。2本飲んでいるなら1本にする。飲まない日をつくる。家では飲まず、会食のときだけにする。

このように、自分に続けられる方法で「総アルコール量を減らす」ことが第一歩です。

ただし、すでにアルコール関連肝疾患やアルコール使用障害が疑われる方では、単なる「節酒」ではなく、断酒を含めた医学的な対応が必要になる場合があります。

2026年、「お酒は適量なら健康にいい」から一歩先へ

お酒は食事や会話を楽しむ文化の一つでもあり、飲酒そのものを単純に善悪で語ることはできません。

一方で、医学的な知識は更新されています。

「適量ならむしろ健康にいいから、飲んだほうがよい」

と考えて、お酒を健康のために飲み始める理由はありません。

そして2026年、日本のがん予防の考え方も「節酒する」から「飲酒をひかえる」へ変わりました。

これは、お酒を飲んではいけないという命令ではありません。

「少量であってもリスクはゼロではない。飲むのであれば、そのことを知ったうえで、自分の飲酒量を考えよう」

というメッセージだと考えると分かりやすいでしょう。

毎日の晩酌が習慣になっている方、健診でγ-GTPやAST・ALTを指摘された方、脂肪肝と言われた方は、一度ご自身の飲酒量を「純アルコール量」で計算してみてください。

「まだ症状がない今」が、お酒との付き合い方を見直す一番よいタイミングかもしれません。

参考文献

国立がん研究センター.「科学的根拠に基づくがん予防法5+1」をより伝わりやすく刷新―お酒と体重のがんリスク上昇に伴い予防法も変更.2026年6月3日.

Bagnardi V, et al. Light alcohol drinking and cancer: a meta-analysis. Ann Oncol. 2013;24(2):301-308. doi:10.1093/annonc/mds337.

Rumgay H, et al. Global burden of cancer in 2020 attributable to alcohol consumption: a population-based study. Lancet Oncol. 2021;22(8):1071-1080. doi:10.1016/S1470-2045(21)00279-5.

記事監修

監修者プロフィール

院長 東森 啓(ひがしもり あきら)

資格・所属学会

医学博士
日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医
日本消化器病学会 専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会 専門医・指導医
日本ヘリコバクター学会 ピロリ菌感染症認定医
日本カプセル内視鏡学会 認定医
日本消化管学会 専門医
日本医師会認定産業医
難病指定医

略歴・主な職歴

2008年 山口大学医学部 卒業
2016年 大阪市立大学大学院 医学研究科 博士課程修了
大阪公立大学 医学部 病院講師
香港中文大学 Prince of Wales Hospital 客員研究員
なにわ生野病院 副部長

ガイドライン作成・システマティックレビュー

H. pylori感染の診断と治療のガイドライン2024年改訂版 システマティックレビュー担当
薬剤性消化管障害ガイドライン 作成委員
消化性潰瘍診療ガイドライン システマティックレビュー担当

この度、東森医院の4代目として、大阪市平野区にて診療を行っております。大学病院・地域中核病院・海外の医療現場で培った幅広い内科・消化器診療、内視鏡診療、研究の経験を活かし、地域の皆さまに信頼していただける医療を提供してまいります。

当院では、最新の内視鏡システムと鎮静を用いた「苦痛の少ない胃カメラ・大腸カメラ」に力を入れております。また、日帰り大腸ポリープ切除術にも対応し、検査から治療まで一貫した内視鏡診療を提供しています。生活習慣病や一般内科診療にも対応し、病気の早期発見と予防医療を通じて、地域の皆さまの健康を支える“かかりつけ医”を目指してまいります。

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