院長はピロリ菌診療に関わる研修・認定を受け、診断や治療の標準化にも携わってきました(『H.pylori感染の診断と治療のガイドライン2024年版』)。当院では、1次・2次除菌に加え、2次除菌がうまくいかなかった場合の3次除菌についてもご相談いただけます。最新の知見を踏まえつつ、体質や既往歴、薬剤アレルギー、現在のお薬などを確認したうえで、無理のない検査・治療をご提案します。
ピロリ菌感染
ピロリ菌感染

院長はピロリ菌診療に関わる研修・認定を受け、診断や治療の標準化にも携わってきました(『H.pylori感染の診断と治療のガイドライン2024年版』)。当院では、1次・2次除菌に加え、2次除菌がうまくいかなかった場合の3次除菌についてもご相談いただけます。最新の知見を踏まえつつ、体質や既往歴、薬剤アレルギー、現在のお薬などを確認したうえで、無理のない検査・治療をご提案します。
ピロリ菌(正式名称:ヘリコバクター・ピロリ)は、胃の粘膜に住みつく細菌です。通常、胃の中は強い酸(胃酸)があるため細菌は生存しにくいのですが、ピロリ菌はウレアーゼという酵素で周囲を中和し、生き延びることができます。
感染は主に幼少期(特に5歳以下)に起こりやすいと考えられており、上下水道が十分整備されていなかった時代に幼少期を過ごした世代で感染率が高い傾向があります。日本では若年層の感染率は低下していますが、年齢が上がるにつれて感染率が高くなることが知られています。
ピロリ菌は、感染していても自覚症状がないことがあります。しかし多くの場合、胃粘膜に慢性的な炎症を起こし、長い年月をかけて胃粘膜の萎縮(薄くなる変化)を進め、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、さらには胃がんのリスク増加につながることがあります。そのため、必要な方には検査・除菌を行うことが、将来の病気の予防に役立ちます。

ピロリ菌感染が続くと、慢性胃炎から萎縮性胃炎へと進み、胃の不快感(胃もたれ・吐き気)や消化不良が起こりやすくなります。さらに、胃粘膜が弱くなることで胃潰瘍・十二指腸潰瘍の原因となり、胃がんのリスクも高まります。
早期胃がんの治療後にピロリ菌を除菌した患者様は、除菌しなかった患者様と比較して、3年以内の新しい胃がんの発生が約1/3だったと報告されています。
そのほか、胃ポリープの一部、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病などとの関連も知られています。
ピロリ菌の検査には、胃カメラを使う方法と、胃カメラを使わない方法があります。
胃の組織を少量採取し、ピロリ菌の酵素反応を利用して調べます。
薬を飲んだあとに息(呼気)を採取して判定します。負担が少なく、判定(特に除菌判定)にもよく用いられます。
過去の感染歴を反映することがあり、状況により解釈が必要です。
便からピロリ菌の成分を調べます。身体への負担が少ない検査です。
※内服薬(胃酸を抑える薬など)により検査精度が影響を受けることがあるため、検査前の薬の調整は診察時にご案内します。
医師の診察・適応の確認
胃内視鏡所見や既往歴などから除菌の適応を判断し、必要な検査を行います。(保険診療で除菌治療を行うには、原則として胃内視鏡検査を含む条件があります)
1次除菌(7日間)
胃酸を抑える薬1種類+抗菌薬2種類を、通常1日2回(朝夕)服用します。飲み忘れがあると成功率が下がるため、できるだけ飲み切ることが重要です。
除菌判定検査(原則8週以上あけて)
治療後すぐに判定すると偽陰性が出ることがあるため、一定期間あけて判定します。
2次除菌(7日間)
1次不成功の場合、抗菌薬の組み合わせを変更して行います。
3次除菌(必要に応じて)
2次除菌でも不成功の場合、これまでの治療歴やアレルギー、状況に応じて治療方針をご提案します。詳しくは自費診療をご覧ください。
| ピロリ菌の検査(保険・3割負担の目安) | 費用 |
|---|---|
|
迅速ウレアーゼ試験(内視鏡) ※胃カメラ+(必要に応じて)生検の費用が別途かかります。 |
約1,700円 |
| 尿素呼気試験(UBT) | 約1,600円 |
| 抗体検査(血液) | 約800円 |
| 便中抗原検査 | 約1,000円 |
※保険診療(3割負担)での概算です。診察料・処方箋料・調剤料、および胃カメラ(内視鏡)費用は別途かかります。
※ピロリ菌のみの検査は、保険適用にならない場合があります。保険での除菌治療には、条件を満たす胃内視鏡検査が必要です。
多くの方は大きな問題なく治療を終えられますが、軟便・下痢、腹部不快感、味覚異常などがみられることがあります。まれに、発疹(じんましん)や強い下痢、血便、発熱などが起こることがあるため、その場合は自己判断で続けず、速やかにご連絡ください。
除菌により胃がんのリスクを下げることが期待できますが、リスクがゼロになるわけではありません。とくに萎縮の程度が強い方は、除菌後も一定のリスクが残るため、医師と相談しながら定期的な胃内視鏡検査を行うことが大切です。また、胃がんリスクにはピロリ菌以外にも、塩分摂取や喫煙などの生活習慣が関係します。除菌後も、生活習慣の見直しと検査を組み合わせて、将来のリスクを下げていきましょう。
高齢の方でもピロリ菌の検査や除菌治療は可能です。年齢だけで「除菌できない」と線引きされることはなく、気になる方はいつでもご相談ください。ピロリ菌は胃にすみつく細菌で、日本人では中高年の方に多く見つかります。
除菌治療の目的は大きく2つあります。1つは胃がんのリスクを減らすことです。若いうちに除菌すると効果が大きいことが分かっていますが、高齢の方でも胃がんの発症リスクを下げる可能性があります(ただし、完全に防げるとは限りません)。もう1つは潰瘍の再発を防ぐことです。高齢の方でも、除菌によって胃潰瘍や十二指腸潰瘍の再発を予防できることが分かっています。
除菌治療では、下痢や発疹などの副作用が起こることがありますが、若い方と比べて大きく増えるわけではなく、多くの方は問題なく治療を完了できます。また、治療は健康保険の対象となるため、費用面でも過度な負担になりにくい点も安心材料です。実際に除菌を行うかどうかは、ご本人の体調や持病、服薬状況などを確認したうえで、一緒に相談しながら決めていきましょう。
除菌によって胃がんのリスクが下がることが示されています。ただし、除菌後も萎縮が残る場合があり、胃がんのリスクがゼロになるわけではありません。そのため、リスクに応じた定期的な胃カメラが重要です。
一般に、治療後すぐは正確な判定が難しいため、原則8週間以上あけて判定します。判定法は尿素呼気試験や便中抗原検査などを用いることが多く、状況により選択します。
はい、影響することがあります。胃酸を抑える薬などは、検査で“陰性に見えてしまう”原因になることがあるため、検査前に休薬が必要な場合があります。自己判断で止めず、診察で最適な方法をご案内します。
そんなことはありません。1次が不成功でも、2次除菌で成功する方は多くいます。2次も不成功の場合は、治療歴や抗菌薬の選択、アレルギーの有無などを確認し、3次除菌を含めて方針を検討します。
除菌の成功率が下がる可能性があります。気づいた時点でどう対応するか(まとめて飲まない、次の服用タイミングなど)は状況により異なるため、飲み忘れがあった場合は早めにご相談ください。
体質や胃の状態によっては、除菌後に胸やけを感じやすくなる方もいます。多くは薬や生活指導で調整可能です。つらい症状が続く場合は、我慢せずご相談ください。
ご本人が陽性だった場合、同じ家庭環境で育ったご家族(特に同世代・上の世代)も感染していることがあります。胃の不調がある方や、胃がん・潰瘍の家族歴がある方は一度相談されると安心です。
原則不要です。
除菌治療後は、まず「除菌できたかどうか」の確認検査(除菌判定)を行い、陰性が確認できていれば、成人では再感染はまれなため、症状がないのに定期的に繰り返し検査する必要は通常ありません。なお、除菌後も胃がんリスクがゼロになるわけではないため、除菌後も「胃カメラ」での経過観察が大切です。
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